『東京車人』(とうきょうしゃじん)で知られる、武蔵境自動車教習所。もちつきや花火大会など、武蔵野地域で様々な地域イベントを行われています。どのような想いで地域活動を行われているのか、教習所で営業企画を推進されている、國領諭史さんにお話を伺いました。

國領諭史さん プロファイル
株式会社 武蔵境自動車教習所 営業企画部 課長 國領諭史さん
運転が好きで、人が好き。インストラクターに昔から興味があり、27歳で入社 。 その後15年以上一貫して事業開発や営業企画を推進。東京調布市出身 。


地域に根差す

MM 山中: 現在のお仕事内容を教えて頂けますか?

國領: まず、市民まちづくり会議・むさしのでの活動ですね。
教習所の営業企画窓口として、様々な企業や大学とつながり、教習所のことを知ってもらう活動をしています。

MM 斉藤: 地域での様々な活動を行われています。内容を教えていただけますか?

國領: 創業以来、地域に根ざす活動として、教習所を利用した花火大会やフリーマーケット・もちつき大会などを開催しています。
また、運転に関連して、小学生向けのキッズセーフティパークを開催して、安全な社会へ向けた活動も行っています。このような活動を推進するチームとして「地域交流室」を設置して、地域交流とイベントの実行を行っています。
そこでの売上金は東京車人基金として、日本赤十字などの団体へ全額寄付をさせて頂いております。ご参加頂いた皆さまには感謝申し上げます

私たちの原点であるお客さまと地域住民の皆さまへ

MM 斉藤: 会社として、なぜそのような地域活動を行われているのでしょうか? 背景を教えていただけますか?

國領: まずは近隣への感謝があります。教習所は夜間9時まで営業しておりますので、近隣の皆さまの理解が必要です。地域活動はいつも暖かく見守っていただいている皆さまへの感謝、という意味合いがあります。また、免許は、取ろうと思ったタイミングで申し込まれる方が多いので、日頃からいかに私たちのことを知っていていただくかが大事で、インストラクターの温かさを知って頂く機会にもなっています。

今ではおかげさまで定着しつつ地域のイベントですが、最初のきっかけは社内改革でした。初代社長時代に社内のコミュニケーションが上手くいかずギクシャクした時がありました。その時、社内でいがみあうのはやめて、今一度原点に戻ってお客さまや地域の方に喜んでもらえることをやろうということになり、始めたのがお餅つき大会だったんです。

サービス企業宣言

MM 山中: お話しを聞いてきて、これまで持っていた教習所への印象が180度変わった気がします。私は20年前に合宿で新潟の教習所に通ったことがあるのですが、とにかくインストラクターの方が怖くて…

國領: そうですね。20年前ぐらいだと、まだまだ教習所にサービス業という考え方が浸透してなかった時代だと思います。

われわれも、そのような体質を変えようと他社に先んじて、3代目社長(現会長)が就任した平成元年に、今までの教習所= 「教育業」から「サービス業」への転換の宣言として、「サービス企業宣言」を行い、様々な改革を実行しました。これは当時、この業界では画期的な取り組みでした。最初は、接遇マニュアルなどを整備してインストラクターの意識改革を図ったのですが、意識を変えていくのは時間がかかったようです。その後も、インストラクターのコミュニケーション能力や伝える力を高めるために研修を始め様々な取り組みを行ってきました。会長の並々ならぬ思いがあったと聞いています。

更に、餅つき大会を始め、様々な地域活動も展開し、何よりも先にお客さま、そして地域の方のためになることをやろうと形にしていったものが今に繋がっています。

お客さまの一生の思い出創り

MM 山中: 現会長の情熱を感じます。その想いは現社長にも引き継がれているのですね。

國領: そうですね。現社長は「お客さまの一生の思い出創り」をスローガンに掲げ、教習所に通う時間がお客さまの一生の想い出になって欲しいという願いを持ってより一層のサービスを提供すべく様々な取り組みを行っています。女性ならではの感覚を活かし、ネイルサービスや水素カプセルをご利用頂けるようにしたり、「ありがとうカード」という活動も始めました。

MM 斉藤: ユニークな活動ですね。どのような活動ですか。

國領: インストラクターは運転を教えるという立場ではありますが、同時にお客さまにサービスをする立場でもあります。満足いただけたのかを確かめていくためにやっていまして、今では月間6,000枚がやり取りされています。お客さまからのレビュー制度を設けて振り返りに活用をしていまして、おかげさまで教習所への満足度 97.2%をいただいています。

教習はインストラクターにとっては通常業務でも、お客様にとっては一生一度あるかという貴重な機会です。お客様に全力投球で向かうことを心がけていまして、人間力を高めるため、毎朝の振り返りや外部での研修の受講などを行っています。社員の満足がお客様の満足につながり、そして地域への貢献へ繋がると考えています。

運転の伝道師、免許君

MM 山中: いろんな地域イベントで免許君をおみかけします。一度みたら忘れられないインパクトがありますね(笑)

国領: そうなんです。身内ながら免許君を担当する「小林」には頭が下がります。単純に被りものが好きというのもあるかもしれませんが(笑)、運転する喜び、楽しみを少しでも多くの方に知ってもらうきっかけを作りたいとう想いで日々汗をかいていると思います。御存知の通り、毎年の免許取得者は、この30年間で半減しました。自動車業界が危機感を抱くのと同様に我々も相当な危機感を持っています。教習所は運転する最初のきっかけです。ですから、ここで運転する喜び、楽しみを知って頂きたいですね。そのためにはまず私たちを知ってもらい、関心をもってもらう必要がある。伝道師としての免許君の役割は実は大きいのです。がんばれ、小林(笑)

運転免許くんのTwitterアカウントはこちら

シニアの方もいつまでも安全に楽しく運転できるように

MM 斉藤: シニアの方が交通事故が増えて、社会的な問題になっていますね。

国領: 私たちは、いつまでも安全に楽しく運転を続けてほしいという願いを持っています。そのために我々ができることをさせて頂く。その一環でシニアの皆さまの運転支援を目的に、高齢者講習にも力をいれていまして、毎年10,000人近くご受講いただいております。他にもお役に立てることはないかと、免許を返納しないで安心して運転できる仕組みを、大学の研究機関や医療機関と連携してサービス開発中です。

MM 山中: 武蔵野の良いところ、今後、教習所としてやりたいことをお聞かせください。

国領: 武蔵野はとても暮らしやすい街という印象で、優しいお客様が多いです。私達は、より地域に根ざしていきたいと思っていまして、会社のビジョンであった、「お客様の一生の思い出を作る企業になる」ためにも、もっと良いサービスやイベントを通じて、根ざしている地域に貢献すること。地域への恩返しをしていきたいですね 。

また、現在のビジョンである「すべての業界の新たな価値を創造する」を通して、お客さまや地域の方々に貢献をし、社員がイキイキ働ける環境を、武蔵野から発信させていくことが、新たな恩返しに繋がると思います。


編集後記

普段様々な場所へ飛び回られているにも関わらず、気さくにお話をいただいた國領さん。地域に根ざした活動のまさかの誕生秘話もお伺いできました。携われている方々が地域に感謝をする、恩返しをするというビジョンで動かれているからこそ、地域に溶け込み育まれているのですね。それが事業運営の力強さにもつながっているのだと感じました。

About the Author

斉藤晴久

Co-Founder

武蔵野市吉祥寺東町在住、二児の父。1979年 埼玉県新座市出身。早稲田大学商学部卒。二児の父。空間のリノベーションや活用に携わる傍ら、地域や古民家への興味から、日本の伝統工法や古民家の保存・活用に関わる、日本民家再生協会 民家の学校 第19期 スタッフ、また地域コミュニティを考える 武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」二期生。 空間・コミュニティ・地域のつながりについて、日々勉強中。 武蔵野市のおすすめスポットは本田北公園とふれあい公園です。本田北公園にはアスレチック、ふれあい公園には自転車の練習になる広場があり、ほぼ毎週末行ってます。

View All Articles

About the Photographer

上澤進介

Co-Founder

武蔵野市関前在住、二児の父。1976年神奈川県川崎市生まれ。栃木県鹿沼市育ち。多摩美術大学を卒業後、建築設計事務所、広告制作会社を経てWeb制作会社を起業。子育てのために武蔵野市へ転居。会社も武蔵野市に移転して職住近接を実現。地域活動に関心をもち2017年2月から武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」の一期生としてコミュニティ活動に関わる方々と学びを深めている。 武蔵野市のおすすめスポットは三鷹の堀合遊歩道から中央公園へ続くグリーンパーク緑地です。子供たちと遊びながら中央公園へ向かうのが楽しいです。