さまざま個性が重なりあい、魅力的な空間を生み出す、まち、吉祥寺。
個性的な人や組織が緩やかに繋がり、全体として魅力を放つ、まさにサラダボウルのようなまち、吉祥寺。

そんなまちを作っていきたいと活動する、
NPO法人サラダボウル代表の小松由美さんにお話しを伺いました。

小松由美さん プロフィール
地元吉祥寺育ち。多様性や街並みが失われつつある、吉祥寺に危機感を持ち、子育てが一段落したタイミングで、NPO法人サラダボウルを設立。法人名の由来は、ニューヨーク発生の多様な人種、民族、文化を尊重し、共存を図る多文化共生の考え。
コロナ禍に行った「ハートマスクプロジェクト」や「フードバンクむさしの」の立上げなど、コミュニティの課題をクリエイティブな発想で解決しようと精力的に取り組む。

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サラダボウルの原点、変わってしまった吉祥寺の街並み

活動を始めたきっかけを教えて頂けますか?

私は、吉祥寺のハーモニカ横丁で育ちました。父親がお店をやっていましたので、物心がついた時から吉祥寺商店街が遊び場でした。ずっと吉祥寺のまち並みを見て育ったんです。
1970年代になるのですが、その頃は、今とは異なり、個性的なお店が集まっていましたが、上手く調和して、魅力的な街並みを形成していました。その景色が好きでした。
  
社会に出てからも大半の時間を吉祥寺で過ごしてきましたが、子育てに忙しく、
周りのことやまちのことを考える余裕がありませんでした。子育てが一段落して、
時間に余裕が出来た時に、ふと、私が好きだった吉祥寺の街並みが変わってしまったことに気づいたんです。
   
”吉祥寺らしさ”がなくなっていく。。。変わりゆく街並みを前に黙っていてもいいのか。やっぱり、自分ができることをしよう。育ってきた大好きな吉祥寺のために自分ができることを探そう。
  
そう思い、コミセンのお手伝い、井の頭公園のガイドなど、様々な地域の活動に参加しました。
活動に参加する度に吉祥寺、武蔵野の歴史や地域の課題などを知り、そこにおもしろさを感じ、気づけば、関わる団体は20にも広がっていました。
それだけ、個性のある、魅力的な団体があったわけなんですが、残念なことに団体間の横のつながりがなかったんです。
個性的な人や組織が緩やかに繋がり、全体として魅力を放つ、まさにサラダボウルのようなまち。そんな吉祥寺・武蔵野になったらいいのにな。それがサラダボウルの原点です。

コロナ禍でのスタートとハートマスクPJ

サラダボウルの設立は、2020年1月ですね。今もまだ収束しておらず大変な状況は続いていますが、当時は社会全体がこの状況にも十分に適用できておらず、すごく大変だったと思います。

さあ、始めようと思ったタイミングで緊急事態宣言でしたからね。
でも、今できることをやろう、という気持ちでした。
当時、マスクが足りないことが社会全体の問題でしたから、自分たちでマスクを作って、街でつけてもらう活動をしました。
暫くすると、今度は、マスクが余るところが出てくる一方で、足りないところがある。
そういう状況でしたから、余ったマスクを足りないところに回す仕組みができれば、みんながハッピーになると思って、買い物ついでにマスクを入れるポストを商店街に設置してもらったんです。Twitterでお知らせしたら、全国からすごく集まって、ポストにあふれるほどでした。集まったマスクは、日赤の小児病棟などで使って頂きました。
   
この活動はすごく注目され、2020年の流行語大賞に「アベノマスク」がトップ10に選ばれた際に、ハートマスクプロジェクトを立ち上げたサラダボウルの代表として挨拶をさせていただきました。

フードバンクを武蔵野で

今年、フードバンクを武蔵野に設立されたと伺いました。

そうです。正確には、設立への道筋を作る活動ですね。三鷹でフードバンクの活動をされている方に、武蔵野にもフードバンクを作りたいね!とご相談をいただきました。

フードバンクには以前から興味があったのと、コロナ禍で、生活が困窮し、食べるものに困っているご家庭がある一方で、食べられるのに捨てられる食材があるという実態が顕在化する中、自分も何かできないかという思いが強くなり、武蔵野でもフードバンクを設立しようと活動を始めました。

活動を始めるにあたり、子供食堂にも声をかけたのですが、コロナで、みなさん活動をストップされていたりと、最初は、どのように必要とするご家庭に食材を届けられるのか、試行錯誤でした。
一緒に活動してくれる仲間たちと、手探りでフードパントリーを重ねていきました。

そんな中で思いついたのが、「のんびりサンタのクリスマスプレゼント」という企画です。12月25日に、企業のクリスマス商材で余った食材、おもちゃ、ノート等をご家庭に届けるというものです。必要とするご家庭を募り、30個のBOXを用意して郵送することが出来ました。

今回の取り組みを通して、必要とするご家庭の役に立てたこと、食品ロスという、環境問題に対する解決の一助となれたという、充実感を持つことができました。
4月には賛同する有志の方々が結束して、「フードバンクむさしの」が立ち上がり、これからはその活動が武蔵野市に浸透していくお力添えをしていきたいと思っています。

誰もが、楽しみながら、回遊できるまちづくりを

今後の抱負を教えて頂けますでしょうか。

姉がペット関連の活動をしていることもあり、ペットたちと家族のように一緒に過ごせるまちになるといいなと思いますし、そんな活動もやってみたいです。

あとは、環境啓発を商店街でももっと進められたら良いと思いますし、もともと、自らの活動の原点である、吉祥寺の景観についても積極的に取り組んでいきたいです。
武蔵野市には、京都のようなに、景観条例がありません。
条例制定に向けて街づくりのコンセプトづくりなどもやってみたいですね。


編集後記

インタビューを通じ、吉祥寺の良さは、まさにサラダボウルだと思った。
個性あるお店が立ち並び、それぞれが響きあい、賑わいをもたらす。
残念ながら、近年、個人店が減り、吉祥寺の良さが失われてきたと言われて久しい。
小松さんの活動が潤滑油となり、個性が繋がり合い、街全体が、サラダボウルのように発展していくことを期待しています。


小松さんの武蔵野市おすすめスポット

小松さんの子供時代、遊び場だった通りがノミネートされています。

  1. 平和通り
    毎朝、ハーモニカ横丁の家から通りに出ると、パッと駅前の空が開け一日が始まるんだという希望に満ちた気持ちになる瞬間でした。駅前の空が開けているのは本当に気持ちが良くて大好きです。
  2. ダイヤ街商店街
    祖父母の家(母の実家)があり、その当時と変わらない、お茶屋さん、乾物屋さんなどの個店が今でも残っている所が好きです。
  3. 井の頭公園
    吉祥寺のオアシスですね!気を上げたいときは必ず自然に癒されに行きます。定期的に井の頭公園の気を補充しに行きます。(笑)

About the Author

山中敦志

Co-Founder

武蔵野市吉祥寺北町在住、一児の父。学生時代にアメリカに留学、市民主体の自治に関心を持つ。 企業で環境・社会関連の業務に従事する傍ら、地域から自然エネルギーの普及を目指す、 NPOむさしの市民エネルギー(むーそーらー)やNPOみたか市民協同発電で地域活動を行う。 市民、市民団体、行政、企業の接点を創出し、社会的課題の解決すべく、MMの立上げに参画する。 武蔵野市のおすすめスポットは市役所隣の市民公園です。週末には市民公園の奥にあるフットサルコートで息子と近所の子供たちとサッカーをしています。

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About the Photographer

上澤進介

Co-Founder

武蔵野市関前在住、二児の父。1976年神奈川県川崎市生まれ。栃木県鹿沼市育ち。多摩美術大学を卒業後、建築設計事務所、広告制作会社を経てWeb制作会社を起業。子育てのために武蔵野市へ転居。会社も武蔵野市に移転して職住近接を実現。地域活動に関心をもち2017年2月から武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」の一期生としてコミュニティ活動に関わる方々と学びを深めている。 武蔵野市のおすすめスポットは三鷹の堀合遊歩道から中央公園へ続くグリーンパーク緑地です。子供たちと遊びながら中央公園へ向かうのが楽しいです。