2023年12月に市長に就任した、小美濃安弘さんに、次世代に大きな影響を与える、防災・気候変動(カーボンニュートラル)・子育てに関するテーマを中心に、お話を伺いました。

小美濃安弘さん プロフィール
武蔵野市長(令和5年12月24日から・1期目)
東京都武蔵野市生まれ、東京電機大学高校卒業、東京電機大学建築学科卒業、住宅メーカーにて勤務(9年)、武蔵野市議会議員(6期)、東京都議会議員(1期)
趣味「第九」の合唱

小美濃市長による防災強化とまちづくりへの取り組み

公約でも大きく、防災を強化することを掲げています。

選挙公約にも挙げていましたが、私が一番、優先的に取り組みたいことが首都直下地震から1人でも多くの市民の命を守ることです。
能登半島地震でも甚大な被害がありました。残念ながら日本では、地理的な固有性から、地震は避けて通れません。また、温暖化による異常気象により毎年のように酷暑・集中豪雨が発生し我々の生活を脅かすなど、従来にも増してリスクは高まっています。このような自然災害は、一度発生すると、我々の生活を一変させる大きな脅威です。

いつ起こるかわからない自然災害に対して、我々ができることは、防災・減災です。しっかりと備え、万が一発生しても、被害を最小化し、非常時にあっても市民が極力ストレスなく生活を継続できることが重要です。それを主導するのが政治であり、私の仕事だと認識しています。

具体的にはどのような施策を検討されていますか?

段階的に施策を具体化させていきたいと考えています。
まず、事前対応により、地震発生時の被害を最小化します。
次に、事後対応として、被災時の避難生活環境の整備を行うことをしっかりと取り組んでいきたいと思います。

都市型の地震発生の死因で大きいのは家具転倒による圧迫死、そして通電火災によるものです。
すぐにできることとして、家具転倒防止金具等の購入費補助を全世帯を対象に行い、家具転倒による怪我や圧迫死など、地震発生直後の被害を回避させたいと考えています。既に予算化しておりますので、ぜひ、みなさんにご活用頂きたいと思います。
また、旧耐震基準に沿って建てられた、1981年以前の住宅を主な対象とし、耐震診断等の耐震化に係る取り組みへの支援を行っていますが、令和6年度からは新耐震基準の木造住宅にも対象を拡充したいと考えています。

築年数の古い建物の耐震対策はまちづくりにも通じますね。

そうなんです。しかしまちづくりは、市だけが推し進めれば良いというものでもありません。
建物にも土地にもそれぞれの地権者がいらっしゃいます。ただ、古い建物の多い地域の課題を解決することに「公」を見出せるのであれば、それは市が支援して良い事案であると思います。
そういった地域を区切り、「このエリアはこういう街にしていきましょうよ」というのをステークホルダーの皆さんとも情報共有(見える化)し、また意見交換を重ねながら、検討を進めていくのが肝要と考えます。

市民・企業・学校の連携によるカーボンニュートラル実現への道

武蔵野市では、2050年ゼロカーボンシティを表明しています。
世界的にも、喫緊の対応が迫られる中、市内全域でカーボンニュートラルを実現するには、市民・企業・学校等の連携が求められます。

そうですね。行政単独では限界がありますので、積極的に市民・企業・学校等のステークホルダーと一体となって推進していきたいと思います。
庁内においても、これまでのように、環境の専門部署だけで推進するには限界があります。防災もそうですが、カーボンニュートラルは、全部署がかかわることですので、部門横断で進めていく必要があります。

また、カーボンニュートラルの分野では、技術的な進歩が早く様々な製品が生まれてきています。太陽光等の再生可能エネルギーで電気を作り、蓄電池でためて、自宅で使うことができるようになってきています。災害時にも非常電源として力を発揮する、このスキームは、都も推進しておりますので、市としても、普及の後押しを引き続き実施して参りたい。

さらに、ムーバスを水素を燃料とする燃料電池バスにしていくことも真剣に検討していきたいと思います。EV(電動)バスという選択肢もあるため、費用対効果や将来の普及見通しを踏まえ、検討していきたいと思います。いずれにしても、点の施策ではなく、面で施策を推進し、しっかりと目標に向かって、前に進めていきたいと思います。

長期休暇中の学童昼食問題解決と特別支援学級のスクールバス問題

共働き世帯が6割を超える中、子育てに関する課題も変化しています。
特に小学生の子供を持つ共働きの親を悩ませるのが、春・夏・冬休み中の子供の昼食です。市内の学童ではお弁当を提供していないため、親がお弁当を毎朝作り、子供に持たせることになりますが、共働きにとっては、相当な負担になります。
港区、八王子市等では行政が主体になり、昼食を提供する取り組みも始まっています。

議会でも、多くの議員からこの問題に関して質問を頂き、改めて社会課題としての大きさを認識しました。
市民ニーズに対応していくのが市であり、行政です。アレルギーの問題等、提供するお弁当により、発生しうるリスクを誰が責任を取るのか等、進める上での課題もありますが、すくなくとも他の自治体でできて武蔵野市でできないことはないと思いますので、しっかりと研究していきたいと思います。
市民のみなさんと一緒にこのような問題も解決していきたいと思います。役所はつい保守的になってしまいがちですが、市民の皆さんからどんどん新しいアイディアを頂き、こうしたチャレンジを一緒に進めていけたらと思います。

中学校の特別支援学級が市内に1校しかなく(現状、四中のみ。2校目が五中に開設予定)、親は障がいを持つ子供を学校まで送らないといけません。学区外でさらに遠方に住むお子さんや親御さんにとって登下校が大きな負担になっていると聞きます。送迎のスクールバス等、負担軽減につながる施策の検討はありますか?

本件は、教育委員会の管轄であることから、市長が介入できる問題ではないので、あくまで、個人的な見解をお伝えします。
福祉施策に関しては、私が市議になってすぐに取り組んだ問題でもあるのですが、残念ながら当時とあまり状況が変わっていません。
私は、原則、特別支援学級を全中学校まではいかなくとも、東部・西部・中部とエリアの偏りがなく設置すべきだと思います。その上で、障がいを持つ子も学校まで自分の足で通えるようにすることがあるべき姿ではないかと思います。

しかし、ご指摘の通り、現状は通える学校にエリア的に偏りがあるわけで、親御さんの負担を解消するには交通手段等のサポートを検討する必要があると思います。教育委員会とこの点については協議をして詰めて参りたいと思います。

小美濃市長が語る武蔵野市の未来像: 前例にとらわれない施策推進の決意

着任して3ヶ月が経とうとしています。改めて、市政をリードするにあたって一言いただけますか?

本日のテーマのように、自然災害・カーボンニュートラル・子育て等、我々が取り組むべき課題は、複雑且つ多様化しており、前例なき解決策が求められます。
また、自治体間競争も熾烈になり、武蔵野市が選ばれつづけるには知恵を絞り、大胆に施策を推進していくことが必要です。しかし、武蔵野市に限らず、行政は、前例を重視し、リスクを取らず保守的になる傾向があります。これは私が市長になって実感したことの一つでもあります。ですので、市の職員には、前例にとらわれずに、市民の課題に向き合ってほしいし、市民、企業、学校のみなさんと一緒に課題解決にあたってほしいと思います。
私自身は、その先頭にたって市政をリードして参りたいと思います。

About the Author

山中敦志

Co-Founder

武蔵野市吉祥寺北町在住、一児の父。学生時代にアメリカに留学、市民主体の自治に関心を持つ。 企業で環境・社会関連の業務に従事する傍ら、地域から自然エネルギーの普及を目指す、 NPOむさしの市民エネルギー(むーそーらー)やNPOみたか市民協同発電で地域活動を行う。 市民、市民団体、行政、企業の接点を創出し、社会的課題の解決すべく、MMの立上げに参画する。 武蔵野市のおすすめスポットは市役所隣の市民公園です。週末には市民公園の奥にあるフットサルコートで息子と近所の子供たちとサッカーをしています。

View All Articles

About the Photographer

山田奈緒子

Co-Founder

武蔵野市関前在住。広島県で生まれ育ち、結婚を機に東京へ。うつ病等を患ったり、近所に話せる人がおらず孤立していた経験から、地域のつながり作りに興味を持ち、地域の「居場所」の情報を載せたマップ作りの活動に参加。様々な活動を通して知った沢山の人たちのストーリーを誰かに届けられたらと思い、MMの立ち上げに参画。「作ろう!みんなのジモト Wa-shoiパートナーシップ」世話焼き人。 武蔵野市のおすすめスポットはクラフトハウスばくです。玄米ランチが食べられてゆるゆる過ごせてイベント盛りだくさんのコミュニティスペース?のような、不思議な空間です。わりといつもここにいます。