成蹊大学経済学部 小田宏信ゼミ×Meetむさしの
Meet むさしのは、成蹊大学経済学部 小田宏信ゼミにて、「インタビューを通した、基礎的な課題解決手法の習得」を目的とした、ワークショップ型の授業を2026年5月に実施しました。
本授業における、インタビュー対象者は、武蔵野市にも縁があり、フィジーに住み、現地の社会課題を解決する事業を展開する社会起業家の川上さんで、日本に帰国した際に授業にお越し頂きました。
小田ゼミの3年生が4チームに分かれて、フィジーの価値観・生き方、ゴミ問題をテーマにインタビューを実施し、簡易的なインタビュー記事を作成しました。
インタビュアー 金子、小井川、皆崎、種山
時間に追われる毎日が当たり前の日本。そんな中、今この瞬間や人とのつながりを大切にするフィジー。今回、実際にフィジーで若者支援や就職支援を中心に、教育機関や企業と連携しながら「人と人をつなぐ仕組みづくり」や「社会問題の解決」に取り組まれている川上晃史さんに、移住して感じた、フィジー人の価値観や生活様式について話を聞いた。インタビューを通して見えてきたのは、日本とは少し違う豊かさに対する考え方だった。

川上さんがフィジーへ渡ることになったきっかけは何でしたか?
知人からの紹介がきっかけでした。もともと、大学時代に、国際系のインカレサークルに所属していて、現在のパートナーともその活動を通じて出会いました。当時から海外への関心は強く、特にパートナーは私以上に海外で働いてみたいという思いを持っていました。卒業後、私も日本の外資系企業で働いていましたが、常々、パートナーと海外で働きたいと話していました。
そんな折に、知人からフィジーでの仕事の紹介があり、実際にフィジーを訪れた際、日本で抱いていたイメージとの違いを強く感じました。パートナーも私も、お酒が好きなのですが、最初のフィジーの印象は「ビールがおいしい国だな。しかも、自国で作っている』という非常にシンプルなものでしたが、自国でビールを作れるということは、それだけ産業基盤が整っているということでもあります。産業が育っていないため、多くの途上国が生活用品、食料品、飲料品を輸入に依存しており、ビールも例外ではないのです。だから、途上国というイメージを持たれやすいフィジーですが、実際には生活インフラも整備されており、日本人が想像する以上に暮らしやすい環境だと思いました。
フィジーで暮らしてみて、日本との価値観の違いを感じたことはありますか?
特に強く感じたのは、時間に対する考え方の違いです。日本では予定通りに動くことや時間を守ることが重視されますが、フィジーでは次の予定よりも、今、目の前にいる人との時間を大切にする文化が根付いています。
そのため、前の予定が長引き、約束の時間に30分ほど遅れることも珍しくありませんが、それを問題視する空気は全くなく、むしろ、遅れることを前提にみんな予定を組んでいますから、30分から1時間程度、遅れて予定の場所にいくとちょうどみんなが揃うということもよくあります。私は、「日本を含めて、東アジア圏の人々は時間に縛られすぎている部分がある』とフィジーに行ってからよく感じます。もちろん、日本の正確さや効率性には良さがありますが、フィジーでは人との会話やその場の空気感を大切にする価値観が生活の中心にあり、それが精神的な豊かさを生んでいる気がします。
フィジーならではの暮らしや文化について教えてください。
観光という視点でも、一般的なリゾート地だけではなく『裏フィジー』を知ってほしいと思っています。ここで言及する『裏フィジー』とは、所謂観光地ではなく、本当のフィジーらしさを垣間見ることができる「村での暮らし」のことです。
村では所有の概念が日本ほど強くなく、食べ物や道具を共有する文化が自然と根付いています。実際に村へ行くと、自分たちのほうが物や時間に縛られているのではないか、と感じることがあります。フィジーでは、何を持っているかよりも、誰とどんな時間を過ごしているかが大切にされているのです。」
編集後記
今回のインタビューでは、身近な話題から会話を始め、相手の話に関連した質問を芋づる式に広げることができた。また、事前に準備していた質問にこだわらず、その場で気になったことを聞くことができた点は良かったと思う。一方で、話の流れから離れた質問をすることはあまりできず、インタビュアーとしての経験不足を感じた。また、自分自身がもっと大きなリアクションをしていれば、相手もさらに話しやすくなり、会話がより盛り上がったのではないかと思う。
今回の経験を通して、インタビューでは「聞くべきこと」を質問するよりも、自分が本当に知りたいことや、その人だからこそ答えられることを聞く方が有意義であると感じた。調べれば分かる情報ではなく、その人自身の考えや経験を引き出すことにインタビューの価値があると気づいた。そのため今後は、事前に自分が興味を持てる質問や、聞いていてワクワクするような質問を考えておきたい。そうすることで、自分自身もより楽しくインタビューに臨むことができ、その雰囲気が相手にも伝わり、より深い話を引き出せると考える。
フィジーの人々の価値観についても新たな発見があった。彼らは次の予定や時間よりも、目の前にいる相手やその瞬間を大切にする傾向があるという。私はこの考え方にとても魅力を感じた。効率や時間を重視しがちな現代社会の中で、人との時間を大切にする姿勢は見習うべき点だと思う。自分自身も、相手と向き合う時間をより大切にしていきたいと感じた。




