「地域の福祉」というと、何を思い浮かべますか?子育て向け広場、介護施設…。
福祉と私たちの生活は、思いのほか強くつながっているかもしれません。

「福祉とは、生活そのもの」こんな言葉を掲げ、福祉に関わる人を増やそうと奮闘する、武蔵野市民社会福祉協議会の三藤さんにお話を伺いました。

三藤和寛(みとう かずひろ)さん プロフィール
武蔵野市民社会福祉協議会 地域福祉推進係 ボランティアセンター武蔵野担当係長
ボランティアセンター武蔵野 センター長

社会福祉士
大学で心理学・社会福祉を学び、都外の社会福祉協議会で住民の地域活動支援や地域包括支援センターで相談支援の仕事を経験した後、平成22年に武蔵野市民社会福祉協議会に入職。地域活動支援や東日本大震災避難者支援、広報(プロモーション)担当、ボランティアセンター担当等を経て、令和3年より現職。

武蔵野市民社会福祉協議会
https://www.shakyou.or.jp/

はじめに、自己紹介をお願いします!

武蔵野市民社会福祉協議会(以下武蔵野市民社協)の三藤と申します。現在、武蔵野市民社協の中にあるボランティアセンター武蔵野のセンター長をしています。

市民社協って何?

まずは「社会福祉協議会」について教えてください!

社会福祉協議会は、社会福祉法で定められた、地域福祉を推進していく団体です。硬く聞こえるかも知れませんが、区市町村に必ずある団体です。

皆さんのお住まいの地域にもあり、武蔵野社協は、武蔵野市にある社会福祉協議会、ということになります。それぞれの地域にある社会福祉協議会が、その地域に沿った活動をしています。

武蔵野市の地域福祉の特徴を教えてください。

武蔵野市が他の地域と異なるのは、自治会や町内会がほとんどないことです。地域の福祉事業というと、自治会や町内会のようなご近所のつながりが大前提にありますが、武蔵野市では違った組織が地域づくりを担っています。

それが、武蔵野市内の各地域にあるコミュニティーセンターを運営するコミュニティ協議会です。市民が自治会や町内会ではない新しい地域づくりの形を目指したからこそできた組織ですね。

コミュニティづくりの活動が続けられていく中で、地域の福祉活動を中心的に担う組織の必要性が生まれ、約30年前に地域社協という住民団体がつくられて、今に至ります。

そうすると、武蔵野市全体で活動する武蔵野市民社協には、どのような役割があるのですか?

各地域社協の活動を後方支援する役割です。活動に必要な情報や費用をサポートしています。

それ以外にも、地域にこだわらず興味のある分野で福祉活動をしたい団体への資金助成、ボランティアの仲介、支援を必要とする当事者向けの事業も行っています。また、隔月発行している市民社協の広報紙「ふれあい」を軸とする広報活動にも力を入れています。

活動の資金源は、会費や募金です。原則として武蔵野市から活動資金をもらうことはなく、自分たちで活動資金をつくります。その資金作りや分配方法の決定も、市民参加で行っています。

市民みずから関わる

活動で大切にしていることは何ですか?

市民がみずから関わってもらうことです。身近に暮らしている人同士だからこそ、困っている人の福祉ニーズに気がつくことができます。たとえば、地域の見守り活動などは、地域に暮らしている人にしかできないものですよね。

市民に関わってもらうためには、「自分も関わりたい」という思い、主体性に働きかけることが必要です。だからこそ、市民が福祉活動に関わるきっかけ作りに力を入れています。

核家族化が進み、地域で暮らす人々の関係性が希薄になっている今、国は地域共生社会という社会のあり方を提示しています。それは地域の中でお互いに支え合いながら生きる社会を意味するのですが、そんな社会づくりは市民みずからしかできません。だからこそ、市民に直接関わってもらうことが大切になってくるのです。

原動力は、ボランティアたちの姿

三藤さんご自身は、どのような経緯で武蔵野市民社協に入られたのですか?

学生時代、臨床心理学を専攻していました。特に「社協に入りたい」という明確な思いはそこまでありませんでした。しかし、在学中に精神障害者に関わるボランティアを経験してボランティア活動の推進に関心がわき、最初の就職先として他の地域の社会福祉協議会を選びました。その後別の職場を経験した上で、武蔵野市民社協に入職しました。

どんな思いをもって、働かれているのですか?

職員として出会ったボランティアの方の声や姿が、仕事の原動力になっています。皆さん地域活動への強い思いを持っていらっしゃいます。仕事をする中で、「あのボランティアの方ならどう考えるかな?」と思いを巡らせることも多いです。

特に思い出すのは、既に亡くなられたあるボランティアの方です。その方は人があまりやりたがらない作業にも黙々と取り組んでいました。亡くなられた際、地域葬が行われ、活動を共にした多くの方がひとりひとりお別れの言葉を言っていきました。その光景を見て、地域っていいな、人と人とのつながりっていいなと感動したことを覚えています。

深刻化する担い手不足、より多くの人に関わってもらいたい!

今後、取り組んでいきたいと考えていることはありますか?

地域活動の新たな担い手づくりです。現在、活動を継続するマンパワーが足りず悩んでいる団体が多くあります。いま地域活動を担う中心世代はシニアなのですが、一緒に活動する人も少なく、下の世代で活動を引き継いでくれる人もいない、という声をよく聞きます。地域で脈々と続いてきた活動を途切れさせてはいけない、という強い思いで、きっかけ作りや情報発信に工夫を凝らしています。

情報発信で意識していることはありますか?

情報発信の際に特に意識しているのが、市民の主体性をどのようにつくるかです。福祉活動に関心がある人は少なくありませんし、福祉活動自体「いいことだ」と多くの人が思うと思います。しかし、実際に活動を起こす人は決して多くはありません。みずから関わりたいと行動を起こす人をどうつくっていくか、また、そもそも「関わりたい」と思う人とはどのように繋がれるのか、考えています。毎月の社協だより・ウェブ・SNS・コミュニティーFMなど、あらゆる媒体を活用し、伝わってほしいという強い思いで情報発信をしています。

また、活動の形を時代の変化に合わせていくことも必要です。今は、共働きの増加などが要因となり、地域活動に時間を割ける人が少なくなってきています。日常生活の中で、活動の存在を知ることができない人も多いです。難しいというのが本音ですが、そんな人たちに、どんなきっかけづくりができるか、現代の生活スタイルに合った活動の形をいかに提案できるかを、日々考えています。

福祉は特別なことではなく、生活そのものですし、誰もが関わることです。市民には「自分の生活とここで繋がっているんだ」と知ってほしい。そのための活動をしていきたいと思っています。

About the Author

谷内田 直歩

神奈川県で生まれ育つも、大学が三鷹市にあったことからむさしの地域と接点をもつ。どこかゆったりとしている雰囲気、ゆるやかな地域のつながりが気に入り、市民ライターになる。現在は埼玉県在住、障がいをもつ人と椎茸をつくる仕事に従事。手づくり料理が大好きで、「次の休みはこれをつくろう」といつも考えている。人との出会いが自分により豊かな人生を与えてくれると思っており、むさしの地域の人にもっと出会っていきたいです!

View All Articles

About the Photographer

上澤進介

Co-Founder

武蔵野市関前在住、二児の父。1976年神奈川県川崎市生まれ。栃木県鹿沼市育ち。多摩美術大学を卒業後、建築設計事務所、広告制作会社を経てWeb制作会社を起業。子育てのために武蔵野市へ転居。会社も武蔵野市に移転して職住近接を実現。地域活動に関心をもち2017年2月から武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」の一期生としてコミュニティ活動に関わる方々と学びを深めている。 武蔵野市のおすすめスポットは三鷹の堀合遊歩道から中央公園へ続くグリーンパーク緑地です。子供たちと遊びながら中央公園へ向かうのが楽しいです。