前回に引き続き、2月16日(日)成蹊大学で行われたフェアトレードフォーラムむさしの2020のレポートです。
今回は「未来を担うZ世代若者からのアクションプラン‼」のレポートです。

オープニングセレモニーと、原田ひとみさんによる基調講演のレポートは下記をご覧ください。

フェアトレードフォーラムむさしの2020のイベント内容についてはこちら

発表をしてくれたのは次の4人の大学生たちです。
河内季子さん(成蹊大学・学生ボランティア本部Uni.)、谷口晴香さん(立教大学・NPO法人FTSN関東)、岡田光さん(国際基督教大学・地産地消プロジェクト)、神村美里さん(東洋大学・TeensTownむさしの)。
皆さん場慣れしているのか170名近い人前でも落ち着いて堂々と話せており、頼もしく感じました。

ひとりひとり、自分の視点でのフェアトレードについて話してくれて、ハッとさせられることがとても多かったです。

まずは河内季子さんの発表。
学生ボランティア本部Uni.の活動で福島の農家さんと関わった実体験からの気づきです。

福島でとれたリンゴを東京で販売するお手伝いをしている際に「リンゴ1個で120円は高い」と言われたそうです。
河内さんはそう言われるまで値段に対して高いという感想はもっていなかったそうです。なぜならそのリンゴを作っている人たちの顔を知っており、どんな苦労や思いがリンゴにはこめられ、農家の方々の生活を支える糧だということを実感していたからです。
しかし、おじさんはそんなことは知らず、リンゴ1個に対する値段だけを見て「高い」と思ったのだと思います。
その認識のずれがリンゴの価値に対する”ずれ”を生んでいるのだと河内さんは言います。

河内さんの提案は「人と人の繋がりが生むフェアトレード」 、生産者の顔が見え、その思いをなどが+αの価値としてそのモノに乗ることで、今までの価格よりも適正な価格になるのではないかということでした。

物の価値は確かの様々なバックグランドや関わっている人を知ることで、同じものでもより思い入れの強いものになります。
そうしたつながりがうまくできるのなら、商品とお金のやり取りもフェアになっていくのかもしれません。

次は谷口晴香さん。
フェアトレード学生ネットワーク関東支部の代表理事を務めています。関東支部は唯一NPO法人化しているそうです。NPOとなっていることのより、卒業後も関わりやすい環境になっています。
団体の活動としては、フェアトレードの普及と啓発、ネットワークの構築などです。

谷口さんがこうした活動にかかわるようになったきっかけは、小学生のころ3年間をフィリピンで過ごし、先進国の搾取や不平等さを肌で感じたそうです。
その後日本に戻りFTSN関東 高校生支部の設立などに関わります。
SGH(スーパーグローバルハイスクール)の研修で再度フィリピンを訪れ、フェアトレードへのズレた態度や無理解が、縮まらない貧富の差を生むのだと気づいたそうです。
日本も搾取する側にいるにもかかわらず、そうした認識がほとんどされていないのです。そうした意識が問題の解決の枷になっているのではないかと言います。

今後は活動は、フェアトレードをより身近にして、意識高い系のようなくくりではなく、普通のことにしていくこと。学生と大人がともに活動できるパイプづくりなどを行っていきたいとのことでした。

3番目は岡田光さん。
ICU(国際基督教大学)の地産地消プロジェクトや落ち葉などでたい肥を作り、有機農業をおこなうSlow Vill(PDFへリンク)などの活動をされています。

田中さんは「本来あるべき食を通じた社会の変革」をテーマで活動をしていて、三鷹のまちなか農家などの活動や、この後のパネルディスカッションのハニカムプロジェクトのマルシェ「COMMUNITY STAND KICHIJOJI」などにも積極的に関わっているそうです。

一般の人たちもいち消費者ではなく、生産者の立場を背負うことで、消費者と生産者がフェアな立場になるのではないか、地産地消は地域の生産者と消費者がつながることで、自然と人の繋がりを確かめ、より心地よく生きることが出来るのではないか提案してくれました。
立場を想像しあえる、単なる消費者から一歩進んだ「生活人」が生きる街にフェアトレードを通じて吉祥寺が変わっていってほしいと話してくれました。

最初に発表してくれた谷口さんとも通じる、生産者と消費者の繋がりの大切さを説いてくれています。

最後に神村美里さん。
TeensTownむさしのというミニタウン(ミニ・ミュンヘン)活動をされています。簡単に言うとキッザニアの地域版のような子供たちだけで街を作りその中で仕事をしたり買い物をしたりして経済をまわしたりする体験型のイベントです。

「地域で顔の見えるつながりづくり」⇒「見えない他者への興味・想像力」を生むのではないかと神村さんは提案してくれました。

TeensTownむさしのをやるきっかけは「むさしのミニタウン」という2004-2014年まで大野田・けやきコミセンで開催されたこどものまちでした。
そこで神村さんはお好み焼き屋をやりながら市長を兼任して様々なことを考えたそうです。そこで「?」を「!」に変えることが自信となり、大人から子供までいろんな人とかかわり、何かを作ることが当たり前になったのだといいます。

そうした体験を未来のこともたちにも送りたい。地域の多世代が関わる場所を作りたい。そうした思いからTeensTownむさしのという活動をしているそうです。

「原体験を生かした小さな恩送りから、参画のサイクルをつくる」
とても心に響きました。

4人の学生さんそれぞれとても素敵で魅力的な活動をしていて、なんだかうれしくなりました。
それぞれ違ったアプローチかもしれませんが、「顔の見える関係」というのがキーワードだったのではないかと感じました。

フェアトレードはチャリティーではない。“かわいそう”だからフェアトレード、ではない。

今回一番自分に響いたのは谷口さんのこの言葉でした。
フェアトレードという言葉にうまく言い表せないモヤモヤしたものを感じていたのは、チャリティやボランティアというイメージがどうしてもついて回り、フェアトレードというものが先進国という立場で、上から途上国に施すもののようなイメージがあったのです。
でも、そうではないのだと気づかされました。
フェアトレードは言葉通りの公正な取引のことで、どちらが上とか下とかいうものではなく、純粋に相手のことを考え、対等な取引をしようということだと認識を正せたと思います。

前後編で納めるつもりだったのですが、Z世代の皆さんの提言があまりにも学びが多かったのでまた長くなってしまいました…
次回はパネルディスカッション ミツバチとつくる「Sustainable Community」のレポートとまとめで締めたいと思います。

追記:フェアトレードフォーラムむさしの2020のその他のレポート記事はこちら


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About the Author

上澤進介

Co-Founder

武蔵野市関前在住、二児の父。1976年神奈川県川崎市生まれ。栃木県鹿沼市育ち。多摩美術大学を卒業後、建築設計事務所、広告制作会社を経てWeb制作会社を起業。子育てのために武蔵野市へ転居。会社も武蔵野市に移転して職住近接を実現。地域活動に関心をもち2017年2月から武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」の一期生としてコミュニティ活動に関わる方々と学びを深めている。 武蔵野市のおすすめスポットは三鷹の堀合遊歩道から中央公園へ続くグリーンパーク緑地です。子供たちと遊びながら中央公園へ向かうのが楽しいです。

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