吉祥寺にある、旧赤星鉄馬邸、現在ナミュール・ノートルダム修道女会の見学会が開催されました。
こちらの建物、実は武蔵野市吉祥寺の成蹊大学の南側にある、アントニン・レーモンド設計で実業家である赤星鉄馬氏の元私邸です。

1934年に竣工し赤星家の私邸として利用され、戦後に一度GHQ管轄となり一部改修。その後現在の修道女会の所有になっています。

ナミュール・ノートルダム修道女会は、1804年にマリー・ローズ・ジュリー・ビリヤールによってフランスに創立されました。

2011年以降修道女の志願者がいなくなってしまったために、大きな敷地に3名で暮らされているとのこと。
志願者の減少に伴い今回手放されることとなり、次の活用方法を検討されているということで今回の見学会が開催されました。

本館はアントニン・レーモンドが設計、御御堂や離れの建物は、1956年に修道女会の所有になってからの増設部分です。

修道女会や建物の歴史について、ナミュール・ノートルダム修道女会より貴重なお話しを伺いました。

その後、建物の見学へ。
線型や四角など縦横の線が特徴的な玄関、また玄関から続く螺旋階段の緩やかなカーブが、当時の優雅さを感じさせます。

大広間は、ガラス戸が真南に向いており、角が繋がり270度に連なっています。ガラス戸は線型のジャバラ、その先には、藤棚と素晴らしい庭園の眺望が広がります。

外から眺めてみても、庭園と藤棚と邸宅が調和しています。

大広間の隣には食堂があり、窓は大広間から繋がっています。作り付けの家具は機能的でデザインも味わいがあります。

現在の応接室は、当時の図面を見ると、隣の部屋と連なって1つの長い部屋だったようです。奥の造作収納もまたユニークで工夫されています。左奥の収納は扇型に開閉する仕組み。生活を主体に考えていく設計に触れることができます。

柱に組み込み式の木製収納。
増築された御御堂には、4つの個室と集会室、お風呂などがあります。
こちら集会室。現在はシスターたちの学習室だそうです。

増築された離れにある和室。瞑想の場となっています。

執事室、運転手待機室の玄関。今見てもモダンな印象。

270度の窓からは、門柱からの出入りや中庭の壁に開けられた穴を通して、大広間の様子を図ることができます。使われ方に合った設計の心遣いを感じます。

蹲(つくばい)ちお灯籠のある玄関脇にある庭。奥の壁は四角の切り取りがあり、待機室から大広間を見守ることができます。

屋上からの眺めも抜けており、敷地内のお庭。庭には33本の保存樹林があり、ここが吉祥寺の真ん中であることを忘れされられます。

旧赤星邸の緑と建物を武蔵野市公共施設として保存活用を願う会会員として、建物やその歴史に関して、充実した解説があります。ご興味ある方はぜひご覧ください。

旧赤星鉄馬邸の保存と活用について

保存に向けた署名活動が始まっています。歴史ある空間の保存に少しでもご協力いただける方は、ぜひお願いいたします。

署名は1名様分でも結構です。次の住所にお送りください。
〒104-006 東京都中央区銀座8-12-11第二サンビル2階
銀座栄光法律事務所 弁護士 竹内雄一

また、保存活用に向けて「旧赤星邸の緑と建物を武蔵野市公共施設として保存活用を願う会」が発足しております。保存会へもぜひ入会をお願いいたします。会費は出席時の飲食代のみです。保存会では旧赤星鉄馬邸を利用して市内外に役立つ企画を随時考えております。

入会に関しては、顧問弁護士の竹内雄一さんへ直接ご連絡ください。
・メールアドレス:ginza-eikou@za3.so-net.ne.jp
・メールでの連絡が難しい場合はこちらの携帯へ 090-7870-0839

修道女会としては、更地にするよりも、せっかくの建物なので保存しつつうまく活用してもらえればと望まれています。

日本の建築は、家の柱に木を使い漆喰で湿気を取るなど、自然と寄り添い、建物全体で自然を感じられるようになっています。
歴史を尊重し、オリジナルを残しつつ、地元に残る資産をうまく活用できるよう、Meet むさしのとしても、情報発信など何かお手伝いしていきます。

署名の趣旨等の転載

今般、旧赤星邸(現ナミュール・ノートルダム修道女会の本部施設)の4000㎡を越える敷地及び建物の売却が予定されています。
旧赤星邸は、武蔵野市の地図上の中心部で、成蹊学園前にあります。建物は、近代建築の巨匠A・レーモンドが設計し、文化財指定が見込まれる近代建築の重要建物であり、当時の設計をほぼそのままの形で残しています。庭には、33本の市指定の保存樹木を中心に古くからの豊かな緑がそのまま残されており、踏み荒らされていない環境下で貴重な樹木と在来種が今も生育しています。
私たちは、武蔵野市が今後も、文化的リーディングシティーとして、住み続けたい街であり続けて欲しいと願っております。今の武蔵野市のブランドイメージである緑豊かな住環境を次世代に伝えることが重要です。建物には複数の個室もあり、おもてなし施設としての活用も期待できます。
貴重な環境文化資財は、一度失ってしまうと取り戻すことができません。皆が集い活動する拠点として、旧赤星邸のすべてを武蔵野市に残して頂けるよう上申します。(活用例として下記)

令和1年9月16日 旧赤星邸の緑と建物を武蔵野市公共施設として保存活用を願う会

1.     武蔵野市の文化を発信する拠点としての活用
2.     四季折々の生物に触れる自然公園・貴重な樹木と景観の保存
3.     幼児・児童・青少年・子育て世代などの学びの場として、次世代育成拠点としての活用
4.     市民相互の交流拠点(同世代・異世代(幼児・児童と高齢者等)、同性・異性、同趣味・異趣味、同業種・異業種等の相互交流拠点)としての活用
5.     海外姉妹都市や国内姉妹都市などの他地域との交流拠点(宿泊施設)としての活用
6.     ガーデンパーティー・お茶会などもできる武蔵野市の迎賓館としての活用
7.     災害時の緊急支援拠点としての活用

旧赤星邸の緑と建物を武蔵野市公共施設として保存活用を願う署名簿

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About the Author

斉藤晴久

Co-Founder

武蔵野市吉祥寺東町在住、二児の父。1979年 埼玉県新座市出身。早稲田大学商学部卒。二児の父。空間のリノベーションや活用に携わる傍ら、地域や古民家への興味から、日本の伝統工法や古民家の保存・活用に関わる、日本民家再生協会 民家の学校 第19期 スタッフ、また地域コミュニティを考える 武蔵野市「地域をつなぐコーディネーター」二期生。 空間・コミュニティ・地域のつながりについて、日々勉強中。 武蔵野市のおすすめスポットは本田北公園とふれあい公園です。本田北公園にはアスレチック、ふれあい公園には自転車の練習になる広場があり、ほぼ毎週末行ってます。

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